不倫のお誘い (2)

イギリス生活よもやま話【エッセイ】

プロフィール

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Teeka(フリート妙子)。イギリス人と結婚して、イギリス南東部に住んで、15年が過ぎました(はっや〜い!)。
夫とのなれそめは、よくある話なんですが、彼がわたしの英語の先生だったことです。
静かな海辺の田舎町で、教師を退職した父ちゃん(夫)と、ふたりで暮らしています。

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不倫のお誘い (2)

朝起きてメールチェックすると、出会い系からの怪しげなメールがずらずらずら〜っとならぶようになった。ここふた月ぐらいの現象である。毎日毎日、いいかげんにしてほしいよ、ったく。これだけのメールを削除する身にもなっておくれ。

メールアドレスがinfo@ となっていればだいたいそれなので、メールを開けずにそのまま削除の刑である。ところが、そうじゃなくて、一見まともなのもかなりある。

たとえば「ご相談ですが……」なんていう件名だと、わたしのメルマガの読者かと思って開けてしまう。「外人男性とつきあっているけど、うまくいかなくて」という悩みの相談メールがたま〜に来るからだ。てっきりそれだと思ったら、こんな文面だった。

「あなたと身体の関係をと興味をもち、メールしています。費用は私がもちます。お恥ずかしい話ですが、私は34歳ですので、お会いするたびに、気持ち程度ですが謝礼をさしあげることも考えており

ます。実生活では、女である私からこのようなお恥ずかしい願いを叶えてくださる方を見つけるのは困難で、もしよろしければ、と思いました次第です」

はっはーん、そーゆーことか。「逆縁奥様」という名前の出会い系からメールが時々来るが、それは女から金を払うから「逆援助交際」、略して「逆縁」ってことか。

そんなら、おめー、エンの字は「ご縁」の縁じゃなくて、「援助」の援じゃないか、バーカ。「逆縁」がどういう意味の言葉か、わかっちゃいないんだろうよ、どうせ、こいつらはよう。

てなことをブツクサつぶやきながら、逆援するような金もないわたしは、プチンと削除するのである。プチンと削除しながらも、ちょいと気になった。

それにしても、34歳のM子さん。わたしはもう、あんなメールを読むと、いとおしくて彼女を抱きしめたくなる。M子さん、あなた、女盛りじゃありませんか。それなのに、34歳だからホテル代を払った上に謝礼を払うなんて、絶対おかしいよ、それ。

あー、これって日本だねえ。日本の男の大多数は、女を若さでしか価値判断できないし、大人の女の扱いが下手だからねえ。だから34歳だと「していただく」と、卑屈な発想が出てくるってわけか。

んもー、よし、M子さん、おいでよ、こっちに。西洋の男の良いところは、女を歳で判断しないことだ。第一彼らは、女性に歳を聞くなんて失礼なことはしないからね。34歳なんて、ぜんぜん、イケル、イケル。こんなことに金払うことないよ、まったく。

それにしても、お金を払ってセックスしたい女性って、いったいどんな人たちなんだろうと興味を持って、いやというほどわたしのところに届く男性会員宛のメールを、適当にピックアップして開けてみた。すると、こういう女性たちのリストができた。


★現在24歳で、まだ処女。付き合っている人もいるがさすがにこの歳で処女は相手に退かれるんじゃないかと思っている。1回だけ、処女喪失のためだけの男性を探している。

★ソープ嬢をやっているが、日ごろ相手しているのがセレブな爺さんばっかりなので、若い男性を望む。商売柄なかなか彼氏を作ることができない。

★30歳で会社経営をしている。仕事に忙しくて彼氏を作る暇がない。

★子育てにうんざりしている32歳の主婦。退屈な毎日に刺激が欲しい。主人にばれないよう、協力をお願いしたい。

★中堅企業のOL。周りは女性ばかりで、男性との出会いがない。1回5,6万でよければ、お願いしたい。

★美容室の経営者。35歳。離婚して現在は独身。大人の交際を望む。性欲を満たしてもらうために、謝礼を払いたい。

なかには28歳で年収3千万という女性もいる。いったいどんな仕事してるんだろ?

もちろん、これらがすべて事実かどうかはわからない。その信憑性も考慮しなければならないが、しかし、処女喪失のための男探しってのには驚いたネ。

いいじゃないの、処女だって。男が本当に愛しているのなら、むしろ喜ぶことであって、退くことじゃないと思うけどなあ。それで退くような男なら、それまでだよ。さっさと捨てちまいな。


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いやあ、しかし、それにしても、うーん……。
時代は変わったなあと、つくづく思う。こういった女性たちからのメールの文面は、昔は男が言っていたセリフである。

たとえば、「会ってくれるのなら、車でお迎えにあがります」。
出会い系では、すぐに会うことができるように、おなじ地域に住む男女を紹介する。女性から車で迎えに行くというオファーが、意外と多いのに驚く。

飲み屋のママをやっていた33歳の女性、飲み相手を求めるメールで、「希望ならお礼もするつもりですが、無理やりエッチなどさせる気はまったくありません」とある。

「無理やりエッチなどさせる」なんて、わたしには女がいうセリフとはとても考えられない。あ、いや、自分だったらそういう状況はありえない、という意味である。わたしだったら、うふふ、相手の方から求めて
くるよう画策するけどナ。

しかし、そういう画策なんかめんどくせえ、という女性もいるのだ。「恋の駆け引きなんか、いりません。割り切った関係をお願いします」という醒めたメールもいくつか入ってきた。これも非常に男っぽい発想だ。

恋愛の醍醐味は、ベッドに行くまでの恋の駆け引きにあると思ってるわたしなんか、絶対にこういうことはできない。だって一番おいしいところを省略するなんて、もったいなくて!

出会い系サイトで会員登録すると、登録されている会員の写真が閲覧できる。それを見て、相手を指名するわけだが、「あなたが逆指名されました」というメールがよく来る。これは、女性会員の方から男性会員を指名したことを意味する。

出会い系に登録するのは圧倒的に女性会員が多いので、男性会員は常に不足状態である。そのうえ、男性は冷やかしで入会する人や、いざとなったら退いてしまう人が多いらしい。だから、紹介されても実際には事が成立しない場合が、かなりあるようだ。

そして、男性は謝礼を受け取らない人も結構いるらしい。そりゃそうだよ、不倫はお互い様じゃないか。こんなことで女が男に金を払うなんてッ、と、どうでもいい他人事にプンプンしていたら、こんなメールが来て仰天した。

「この度、あなた様を女性会員にセリをさせて頂きました。その結果、○美さんが142万円であなた様を落札致しましたのでご連絡する運びとなりました」

32歳の○美さんのメッセージに拠ると、結婚生活がマンネリ化してきて面白い事がない。不倫でもいいから何か新しい一面を見つけたい、と。そして「絶対に会って貰えるなら明日にでも振込みますのでお願いします」とある。

ただし、この男性会員が受け取れるのは、落札額の半分の71万円。あとの半分はこの会の儲けになる。

なーんか、昔、アフリカからアメリカへ売られて行った奴隷の市場が目に浮かぶ。いやはや、出会い系というのは、わたしの理解の範疇を超えた世界である。


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最近は、「女子高生セフレ紹介所」なんてところから頻繁にメールが来る。また、個人名で「いま大丈夫ですか?」という件名で来れば、「夫が出張なので、早く会ってイイコトしましょう」という、人妻からのワルイコトのお誘いなのである。

「夏休みで田舎に行っている子供たちが来週帰ってくるので、今週のうちに会いたいです」と、あせりまくっている主婦。

「ふたりでもかまいませんか?」というアキノちゃん、お姉ちゃんとふたりでプレイしたいんだって。ところが男性会員がちょっとビビっているらしく、「お返事ください」としつこくお誘いが来る。

「わたしたち姉妹のこと、どう思います? 写真、こんどのはスゴイです。早めに見てね」って、わー、お姉ちゃんのマミさんも出てきた。するとまたアキノちゃんから「お姉ちゃんももう限界です。なんとかいい
返事もらえませんか?」。

こらー、誰だか知らんが男性会員、なんとかしてやれよー。姉妹が欲求不満でもだえてるぞー。今さら退いてどうするっ!

そうこうしているうちに、あらら、こんどは「じつはわたしにはもうひとり姉妹がいます。妹もいっしょにまぜてもらっていいですか? 妹のおっぱいの写真、見てください」とアキノちゃん。

三人姉妹で一緒にプレイするってえ?
ふーん、……あんたら、ホンマに姉妹? なーんか怪しさ満開なんですけど。

このような出逢い系サイトで、需要と供給が一致して、ひと月足らずのうちに三人の女の子をゲットした男が、軽薄そのものという口調のメールを送ってきた。

「とりあえずこれでエッチ相手には困らないのだ。でも、ホテル代がもったいないので今度は一人暮らしの女の子をゲットするのが目標なのだ!」

なに? ホテル代がかかるから一人暮らしの女をゲットする? それなら兄ちゃん、金持ちのええ女おりまっせ。逆援っちゅう奴でんがな。年収3千万、28歳、どないだ? 

と、この軽薄男に教えてあげたくてあげたくてしょうがない。(わたしの前世って、絶対、大阪ミナミのポン引きやわ……)

と、人のメールを読んで遊んでいたら、お出かけの時間になった。日本から来た知人とお茶の約束をしていたのだ。

海辺のカフェテラスでお茶を飲みながら、わたしが近頃悩まされている出逢い系メールの話をすると、最近まで東京の看護師協会の職員をしていた彼は、こんなことを言い出した。

「じつはねえ、日本ではエイズが増えているんですよ」
看護師協会では、エイズや性病予防のセミナーを企画するが、その需要が高校だけでなく、近ごろは中学校にまで広がっているという。

そういえば、去年帰国したとき、実家のおとなりのおばちゃん、看護師さんだが、「最近の若い子に淋病が増えてねえ……」と嘆いていたっけ。

ほうらね、動物的レベルで好き勝手やってると、こういうツケがまわってくるんだよね。 おー、やだ、やだ。

というわけで、きょうまで、エッセイのネタにするために、わたしは読みたくもない怪しげなメールを保存して、親愛なる読者諸氏に日本におけるIT社会の一端の実情をですね、生のレポートとしてお届けするために、もう、ホントにしかたなく読んでいたけど―― 

え? うそこけ? 好奇心全開で読んでたくせに? 
……なんだ、バレてたのか。

おーし、エッセイも書き終えたことだし、きょうからおまえら怪しげメールは不要につき、全員、極刑を申しつける!

カチっ。(一括削除の音)
これにて〜、ア、一件落着ぅぅ〜!


【あとがき】

へっへっへ、2回にわたって、迷惑メールでネタを稼がせていただきました。これぐらいのことはせんと、やってられんわい、ホンマに毎日、毎日!

皆さんも携帯にはよく来るんでしょうね。わたしは携帯のほうには、ぜんぜん来ないですけど。それにしてもスゴイね〜。一億総不倫時代? 不倫するのは勝手だけど、病気にはくれぐれもお気をつけくださいませ。

メールアドレスの公開をやめた今は、出会い系メールも来なくなり、めでたし、めでたし。なんですが、その代わり、英文の「バイアグラはいりまへんか?」というお誘いメールが、よく来ます。とほほ。


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