あっとおどろく大変換

イギリス生活よもやま話【エッセイ】

プロフィール

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Teeka(フリート妙子)。イギリス人と結婚して、イギリス南東部に住んで、15年が過ぎました(はっや〜い!)。
夫とのなれそめは、よくある話なんですが、彼がわたしの英語の先生だったことです。
静かな海辺の田舎町で、教師を退職した父ちゃん(夫)と、ふたりで暮らしています。

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あっとおどろく大変換

外国にいると、日本について思わぬ発見をすることがある。わたしたち日本人にとっては、あまりにも当然で気にもしていなかったことが、西洋人にとっては驚愕のテクノロジーだったなんてことが、往々にしてある。

さて、ドイツから英語の勉強にやってきた、電子工学の専門家、マテウス教授とその夫人をわが家に迎えて、夕食のテーブルを囲んだ。そのときの、韓国人の夫人の「尽くす良妻ぶり」は前回お伝えしたとおりである。

教授夫人大奮闘のディナーが終り、食後のコーヒーになった。話題が語学のことになり、教授は、日本語についてあれこれと聞いてきた。

わたしが、日本語にはひらがな、カタカナ、そして漢字の三つのアルファベットがあり、漢字は常用するものだけでおよそ二千字あると説明すると、「オー、ノー、マサカ」という顔になった。

アルファベット二十六文字だけですべてをまかなう、という感覚しか持たない欧米人にとって、五十のひらがなでさえ多いのに、二千などという数字はとんでもなく、マサカ、マサカなのである。

「そんなにあるのなら、巨大なキーボードがいるだろうが」
と突っ込んできた教授は、どうやら、二千個の漢字がずらりと並んだキーボードを、想像しているらしい。

「いえいえ、漢字は、ひらがなか英語のアルファベットで入力して、変換すればいいんです」
「ちょっと待った。ひらがなか、英語のアルファベットで入力とはどういうことだ」
「えーと、ひらがなで入力するとですね、画面にひらがなが出るんです。で、アルファベットで入力しても、やっぱりひらがなが出るんです。だから、どっちでもいけるんです」

「……。ということは、アルファベット用のキー二六とひらがなのキー五〇で、合計七六のキーがいるわけだ」
「いや、ひとつのキーでアルファベットとひらがなを兼用するので、キーの数は欧文用とそう変わりません」

「……。じゃ、二千もあるという漢字はどうする」
「スペースバーを押すと、一瞬にして、ひらがなを漢字に変換します」

教授は腕組みをして、うーむむむと考え込んだあげく、地の底から絞り出すような声でいた。

「……そんなことが、できるはずがない」
もはや顔面蒼白、彼の頭ン中は、◎%☆Ю#∇Ф★状態になっているらしい。

わーっはっは、ざまーみろ。
わたしはもう、うれしさと得意とできゃっきゃと喜んだ。
できるはずがないもヘチマも、もう、モロできちゃうんだもんねー。

この教授が、電子工学のどういった分野が専門なのかは知らないが、とにかく、教授が頭をかかえているのである。いやあ、このときほど、わが大和民族の優秀なる頭脳を誇りに感じたことは、ありませんね。

あ、そうだ、お見せしましょう、実際に。できるという証拠をネ。
目の前でやってごらんにいれましょう。

わたしは二階から、その当時はまだ、パソコンを持っていなかったのでワープロを持ってきた。そして教授の目の前に置いて、大デモンストレーションを披露した。

題して《華麗なる世紀の大漢字変態シロクロショー!》(なんでこうなるんや)。
ローマ字で「hentai」と入力して、さあ、いきますよ。よーく見てらっしゃい。この魔法のキーを押しますよ。それっ。

「hentai」がパッと「変態」に早変わり。
それを見て教授は、あいやーっとでんぐり返り、オシッコをちびってしまった――というのはもちろんウソだが、眼がでんぐり返ったのは、ホントである。


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この話を、日本人のプログラマーの友人にすると、彼女はニマニマと笑ってうなづいた。

「そうなのよ。日本の漢字変換って、すごい技術なのよね。あたしはアメリカで日本のパソコンを使ったことがあるんだけど、あの機能を見せると、やっぱりみんなビックリするわ。

しかも、同じ読みの漢字が、いくつも出てくるじゃない。その中から、辞書も見ずに適切な漢字を選ぶんだから、日本人の頭の中どうなってんのって感じ」

「あはは。あんたらとは頭の出来がちゃうわい、といってやればよかったのに」
「うふふ、優越感だよね」
「うん、すごい優越感」

日本では、誰もが何とも思わずに使っている変態機能、ちゃう、変換機能。
これはあなた、世界でも類のない、とんでもなく高度なテクノロジーなのですぞ。これからは、心して変換キーにタッチなさるがよろしいぞよ。


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