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イギリス生活よもやま話【エッセイ】

プロフィール

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Teeka(フリート妙子)。イギリス人と結婚して、イギリス南東部に住んで、15年が過ぎました(はっや〜い!)。
夫とのなれそめは、よくある話なんですが、彼がわたしの英語の先生だったことです。
静かな海辺の田舎町で、教師を退職した父ちゃん(夫)と、ふたりで暮らしています。

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イギリス生活よもやま話【ブログ】

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【それだけは見ちゃダメ】 

前回のエッセイについて、いつもよりたくさんの読者からお便りをいただいた。そのうちの半分は、わたしが「文章が長すぎた」と、あとがきで反省したことについて。
  
いずれも、「少々長くてもかまわんぞ。苦しゅうない。近う寄れ」という、暖かくも寛大なるお言葉であった。ホッと安堵である。

そうか、そうか。よーし、そんなら、めっちゃくちゃ長いのを、大阪ガスの「宅ふぁいる便」で発信したろかい(て、それがいかんのだ、それが。治せよ、その性格)。
    
そして、あとの半分は、お馬さんのこと。その中に一通、かなりホラーなのがあった。なんでも、会社の同僚(イギリス人女性)が、馬の事故にあったという。それがなんと、馬上にいて振り落とされたのではなく、地上にいて、顔を蹴られたのだ。
  
なにしろ、ホースパワーという力の単位になっているくらいだから、馬の力は強い。さらに、蹄(ひづめ)の先には、蹄鉄が打ちつけてある。これはもう、鉄の棒でなぐられた、いや、叩きつぶされたのと同じこ
と。
  
結果、その女性は、あごが、複雑骨折でぐちゃぐちゃに砕け、歯はぼろぼろ、さらに脳内出血。あちこちの手術をして、今もって療養中だそうな。なんとも気の毒な、そして恐ろしい話である。
  
もう、こんな話を聞いたら、いけません。またわたしのびびり虫が、
「ふんぎゃー、それ見たことかぁぁぁ。言わんこっちゃないッ、馬はやめとけー」
と大暴れしている。

それにしても、馬に近づくときはくれぐれもご注意を。後ろからだと蹴られるので、必ず前から。これは鉄則である。

  
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さらに、読者から寄せられた質問に、「イギリスにいるのに、なぜ『トリビアの泉』を知っているのですか?」というのがあった。

「トリビアの泉」で、馬と鹿とどちらが馬鹿か、という実験をやっていたと書いからだが、これはおそらく、読んでくださった方全員が「?」と思われたことだろう。
  
もちろん、日本からの海外向け衛星放送があるから、イギリスにいても日本のテレビ番組を見ることはできる。が、わが家では導入していない。え? 貧乏だから? ほっといてください。
  
海外向け衛星放送は、ほとんどがNHKの番組なので、「トリビアの泉」は放送されていないかもしれない。わたしが観たのは、日本の友達Yちゃんが録画して送ってくれた、ビデオである。
  
Yちゃんとわたしは、ウツ友達である。だから、ウツの苦しさを、おたがいに解りあえる。わたしが沈没してどん底にいたとき、Yちゃんは笑える番組を録画して、送ってくれたのだ。

「探偵ナイトスクープ」「吉本新喜劇」「さんまのまんま」、漫才、やしきたかじんや上沼恵美子の番組、などなど。
  
「トリビアの泉」を除いては、いずれも関西弁ギトギトのてんこ盛り。不思議なことに、日本にいたころは、吉本新喜劇も上沼恵美子も好きではなかったのに、今イギリスで見ると、グヒグヒ笑えてしまう。
  
笑いは、まさしく、百薬の長。精神神経免疫学では、笑いが免疫機能を高めることが、実証されている。なつかしい関西弁を聞いて、笑って、それが、どんなにわたしの気分を押し上げてくれたことか。
  
今でも、忙しい仕事のあいまに録画してくれたビデオが、たまに届く。本当にYちゃんには感謝、感謝である。もう、日本の方に足を向けては寝られない(だからお尻を向けて寝ている)。

  
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というわけで、わたしはイギリスにいながら、日本のお笑い番組を楽しんでいるのだが、ひとつ問題がある。それはうちのイギリス人である。
  
わたしが日本のビデオを見ていると、奴は必ずやって来て(来なくていいのに)、見ようとする(見なくていいのに)。最初はおとなしく見ているが、話の内容がわからないので、いろいろ聞いてくる。
  
あれは誰? 何する人? 人気あるの? 何してるの? 何食べてるの?
何て言ったの? なんでみんな笑ってるの? 

どうしてあんなことしてるの? 
なになに、なんで、どうして、なになに、なんで、どうして。
んもう、四歳児みたいな質問攻めである。
  
うるさいなあ。話が聞こえんじゃないか。と思いながらも、日本語がわからないんだから仕方ないよなあと、いちいち質問に答え、説明していた。
  
ところがだんだん、うっとおしくなった。しかも、どうも、自分の見たい番組があるときにわたしがビデオを見ていると、奴の質問の数が増すのだ。せっかく英語から開放されて、リラックスして楽しんでいるのに、横からもう、うるさいのなんのって。
  
じゃかンしーいっ! だーっとれーッ!
  
と、爆発寸前なのを必死でこらえると、こめかみがピクピク、ワナワナしてくる。Yちゃんはこのビデオを、わたしのストレス解消のために送ってくれたのに、これじゃかえって、ストレス溜まるばっかりだ。
  
業を煮やして、わたしはオットットのいないときに、ビデオを見るようになった。今や彼が外出するときには、「いってらっしゃい、気をつけてね」の後に、「当分帰ってくるなよ」と無言で付け足す。

そしてビデオに駆け寄って、こっそりとひとりで見るのが、楽しみなんである。これって、なーんか、奥さんに隠れて、アダルトビデオ見てるエロ親父といっしょやん。
  
そんなある日、わたしはまたエロ親父になって、ウシウシとビデオを見ていた。

ちょうど「探偵ナイトスクープ」をやっていて、ある男性からの依頼が、「わたしは痔になりました。自分の痔を見てみたいのですが、鏡を使わずに自分の肛門を見ることは、できるでしょうか?」というものだった。
    
探偵はさっそく街に出て、大学生らしき男の子らに声をかける。すると彼らは、気軽に実験に応じる。実験といっても、下半身すっぽんぽんだよ。それ、テレビカメラの前でやるんだよ。
  
この実験に、男性たちが何の躊躇もなく参加することに、イギリス的感覚に麻痺したわたしはちょっと驚いた。さすが関西やなあ。アホなことなら喜んでやる関西気質、よろしなあ。
  
東京の男性が、こんなアホなことを、これほど気軽にやるだろうか。ましてや、イギリス人男性がこういうことをするとは、とてもじゃないけど、想像できない。
  
実験は、漢字を一字書いた丸い小さなシールを肛門に貼り付けて、その字が読めたら肛門が見えた、とする。もちろん、本人にはその字は伏せてある。

肛門を見るために、いろんなポーズを試していたが、結局、あおむけに寝て、足を上にあげて開いて、できるだけ上半身を起こして股をのぞきこむ、という形に落ち着いた。
  
ところが、学生たちは、誰ひとりとして成功した者がいない。そこで、酢が体をやわらかくするという理由で、酢を醸造する会社に行き、そこのラグビーチームに、どなたかこの実験に参加してくれませんか、と呼びかけると、すぐに何人か、「ほーい」と手があがった。
  
実験再開。オチンチンが見えてはいけないので、うちわで隠したり、画面のあちこちに黒い丸が飛びかう。いやあ、それにしても、こういうアホなことをテレビでやってくれるのは、世界広しといえども、日本の関西だけちゃいまっか。
  
ゲヘゲヘ笑って楽しんでいると、
「たっだいまー!」
と、能天気な声が聞こえた。
  
うわあああああ、こんなの見せられないーっ!
わたしは、あわててビデオを消した。ちぇ、もう帰ってきやがった。
  
「ただいま」
「あら、お帰んなさい、ダーリン。遅かったじゃない、どうしたの?」
「うん、道が混んでてねえ」
「ひとりでお留守番、さみしかったわ。早く帰ってきてくれなきゃイヤ」
「ごめん、ごめん。もう大丈夫だよ、ダーリン」
  
この会話を、玄関でオットットは、ひとり二役でやる。頭のてっぺんから黄色い声を出して。いつもこれをやるので、わたしにとっては、面白くもなんともない。

奴は、リビングに入ってきた。
「おや、ビデオ見てたの? 何見てたの?」
「なんでもないって。つまらんもの」
「なんだよ、ぼくが帰って来たからって、遠慮しなくてもいいよ。いっしょに見ようよ」
と、いきなりわたしの手からコントローラーを取り上げて、スイッチ・オン。
  
ひええええええ、そ、それだけは見ちゃだめーーー!
日本人としてのコカン、いや、コケンにかかわるぅぅぅぅ!

No.79 2004/10/23

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