パソコンと雷

イギリス生活よもやま話【エッセイ】

プロフィール

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Teeka(フリート妙子)。イギリス人と結婚して、イギリス南東部に住んで、15年が過ぎました(はっや〜い!)。
夫とのなれそめは、よくある話なんですが、彼がわたしの英語の先生だったことです。
静かな海辺の田舎町で、教師を退職した父ちゃん(夫)と、ふたりで暮らしています。

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パソコンと雷

【授業料、しめて二十万円也】

いやはや、六週間も、メールマガジンを休刊してしまった。その理由を、「雷にやられて、インターネットができなくなった」と、わたしのホームページの掲示板に、書いた。いや、正確には、電話で友人に頼んで、書き込んでもらった。
  
「雷でモデムがやられた」というべきだったのに、つい「雷にやられた」としたものだから、それを読んだ人々のあいだでは、さまざまな憶測が飛び交っていたようだ。
  
「イギリスでは、フリート妙子の家に雷が落ちて、大変なことになっているらしい」
「ああ、それでメルマガが来ないのか」
「いやあ、気の毒になあ。まだ若い(?)のに、惜しいことを……」
「いや、本人は無事らしいで」
「え? まだ死んどらんのか? 悪運の強いオバハンやなあ」
などという噂が、まことしやかに、ささやかれていたという。
  
そりゃそうだ。「雷にやられた」といえば、「雷が落ちた」と思うのが、普通だもの。なんでも、知人のBさんの会社では、徳島 の営業所が、雷に直撃されて火を噴いたそうである。

不幸中の幸いにも、大雨で自然消化したために、火事にはいたらなかったが、復旧に十日以上かかったという。
    
だから、わが家でも、モデムや電話、冷蔵庫、エアコン、携帯の充電器などの機器が損害を受け、復旧作業に、かなりの出費を強いられているのではないかと、心配してくださった。

また、別の友人は、「いやいや、命があっただけでも、よかった。きっとパソコンが、身代わりになってくれたんだよ」と慰めてくれた。
 
  
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バリバリバリッと、真昼のような閃光が走ったかと思うと、ドッカーンと地の裂けるような轟音がとどろいて、たちまち火の手が上がる--、

みたいな、派手な落雷のスペクタクルを想い描いて、日本ではマジで心配、同情してくれていると思うと、
「い、いや、ちゃいまんねん。そうやなくて、えーと……」
と、地味〜ぃな真相を明かすのが、なんとも後ろめたい。
  
雷にやられたのは事実だが、落雷したわけではないので、本人も家も、パソコン以外の家電製品も、すべて無事。

しかも、メルマガを休刊した六週間のうちの二週間は、旅行に行ったものだから、人に心配させといて、てめー、えーかげんにせえよと、ジキタリスをたっぷり塗った毒矢が、飛んできそうである。
  
さて、その真相であるが--
八月半ばのその日、マーゲイトでは、いつものごときイギリスの涼しい夏の日が、平和に暮れていった。
  
異変に気づいたのは、翌朝である。電話機のボタンが、ピコピコ点滅している。このボタンは、留守番電話にメッセージが入ると点滅するのだが、このときは「時刻をリセットしてください」という、お知らせだった。
    
なんで時刻をリセットするんだろうと、夫に聞くと、
「ああ、きっとゆうべの雷で、停電したんだよ。それで時計が止まったんだろう」
という。
  
夜中の三時ごろのこと。夫は目が覚めたらしいが、わたしはグースカ寝ていて、そんなことは知る由もない。朝のメールチェックをしようと、パソコンを立ち上げたら、他の機能は大丈夫なのに、通信機能だけが、頑として作動しない。
  
まるで、デート中にムクレてしまった娘っ子みたいに、なだめてもすかしても、いうことを聞かない。パソコンの肩(?)のあたりをなでなでして、
「ねえ、お願いだから機嫌なおしてサ、プロバイダに接続してくれよ、なっ」
と下手に出ても、
「いやッ、知らないッ、あたしにさわんないでよッ」
てな具合で、とりつくしまもない。
  
しかたなく、同じ町に住むパソコンに詳しい知人に、電話で聞いたら、
「ありゃ、おたくも? うちのおふくろンとこもモデムがやられてねえ。サージだね。ゆうべの雷が、犯人だね」
という。
  
ここではじめて知った、サージ(surge)という言葉。これは、辞書には「電流が、瞬間的に大きく増加すること」とある。

つまり、停電して、スイッチが入ったままで、電気がすうっと消えますわな。で、次に通電したときに、いきなりウワッと入ってくる。その「ウワッ」がアカンらしい。これで、モデムがやられてしまうのだ。
    
おなじサージでも、電話器は、時計が狂っただけで故障はしないが、パソコンのような複雑でデリケートな機械は、それでダメージを受ける。だから読者諸氏も、雨や雷の来そうなときや就寝前は、パソコンの電源は、切っておくのがよろしいですぞ。

などと、わたしごときが偉そうにいうまでもなく、ちゃーんとサージ防止装置をつけている、賢明な方もいらっしゃるでしょうけどネ。


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モデムが故障したのなら、それを取替えればいいじゃないか。それなら六週間も休むこともあるまいに。と、お思いだろう。ところがどっこい、そうはいかぬ。
  
わたしは、日本から持ってきたノートパソコンを使っている。これだと日本語環境は完璧だが、修理に持っていくと、あれこれいじくったあげく「英語じゃないからわからない、自分でやってちょうだい」といわれる。だから、問題が起こるたびにうんざりする。
  
それに、購入して四年目になるパソコンは、何をするにもおっそろしくスローモーになってきて、ちょうど買い替えの時期でもある。それなら、修理のときに嫌な顔をされないイギリスのパソコンにしよう。そして、日本語環境を構築すればいい。
  
そう思って、イギリスの製品を使っている日本人に聞いてみると、最近のパソコンは日本語環境に換えるのは簡単だが、問題は、日本語のアプリケーションで、作動できるものとできないものが、あるという。
  
わたしにとっては、ホームページ関係とメルマガ関係のアプリケーションが動かせないと、どうにもならないので、ううーむむむむ……と考え込んでいると、京都にいるお助けマンから「こっちで買うて、宅急便で送ったらええやん」という、ありがたいオファーがあった。
  
このお助けマンは、わたしの甥にあたる青年で、コンピュータのプロである。彼に購入からセットアップ、荷造りなどすべてを任せて、発送の段階になったときに、半年前から予約していた旅行とぶつかった。
  
わたしは、メルマガを復活させるまで旅行を延期したかったのだが、フランスの七ヶ所の宿泊施設やユーロトンネルの列車の予約を、一つ一つ自分でやった夫としては、これをやり直すのは絶対にいやだという。
  
口論の末、わたしが折れて、パソコンは、二週間の旅行が終わってから、受け取ることになった。

旅を終えて帰ってきた二日後に、パソコンは届いたが、まちがって違う住所に配達されるという、イギリスでは非常によくあるハプニングですったもんだし、それが週末とかさなったので、さらに配達が遅れた。
    
ともあれ、おニューのパソコンを入手し、やっとのことで通信が再開した。それにしても、うふふ、やっぱ、新しいパソコンって、いいねえ。女房と畳は新しいほうがいいというが、亭主だってパソコンだって、新しいのがいいに、決まってる。
  
このパソコン代、家財保険でおりないものかと思うが、サージプロテクターをつけていなければ、対象にはならないそうだ。だから、しゃーない、買いましたよ、サージプロテクター。これでもう、雷が鳴ろうが落ちようが、地球が割れようが、どんと来いッ。
  
いやあ、それにしても高くつきました。パソコンが14万ちょい、海外宅急便の送料が一万ちょい。そして、サージプロテクターが約五千円。

で、うっかりしてたのが、税金。新しいパソコンを買って送ってもらったのだから、これ、輸入したことになるのネ。それで、税関から、なんと、四万二千円の請求が。

はあ〜、雷さんの授業料、しめて二十万円也。とほほ。

No.76 2004/10/03

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