英国医療事情 (1)

イギリス生活よもやま話【エッセイ】

プロフィール

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Teeka(フリート妙子)。イギリス人と結婚して、イギリス南東部に住んで、15年が過ぎました(はっや〜い!)。
夫とのなれそめは、よくある話なんですが、彼がわたしの英語の先生だったことです。
静かな海辺の田舎町で、教師を退職した父ちゃん(夫)と、ふたりで暮らしています。

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英国医療事情 (1)

【ホームドクター 】  
  
世の中でなにが嫌いって、わたしゃ、病院くらい嫌いなものはない。
もう、あの雰囲気がダメなんである。

だから、見舞いに行っても、チョロッと寄って、そそくさと帰ってくる。できることなら、病院とは、200億光年ぐらい離れて暮らしたいものだと、思っている。
  
そんなに嫌いな病院なのに、悲しいかな、お世話にならにゃならんときがある。あれはイギリスに来て、まだ二、三年目だったと思うが、冬になって、右眼がゴロゴロするようになった。眼の中に、なにか異物が入っているような気がする。
  
まぶたをひっくり返して、鏡で見ても、なにもない。夫に見てもらっても、なにもない。気になってしかたがないので、とうとう観念して、病院に行くことにした。
  
こういう場合、日本なら当然、眼科に行く。ところがイギリスでは、そうはいかない。なにしろ、街なかに専門のクリニックがないのだもの。だから、「○○眼科」だの、「XX肛門科」だのという看板を、見たことがない。
  
イギリスでは、専門医は、たいてい個人で開業しないで、大病院の専科で診療している (自費診療であれば、開業医がいるけれど)。 

だったら、大病院に行けばいいじゃないか、と思うでしょ? ダーメ、それもダメ。いきなり行っても、診てもらえない。じゃ、どうするかというと、まずは《なんでも屋》のホームドクター、家庭医に、行くのである。

このホームドクターのことを、GPという。イギリスで保健医療を受けるには、まず自分の住んでいる地域の診療所に行って、GPに登録をしなければならない。だから引越しをすれば、引越し先で一番にすることは、地元のGPへの登録である。
  
登録した患者の初期医療を受け持つのが、このGPである。だから、たとえば耳が痛くなった場合でも、日本のように、耳鼻科の医院や、大病院の専門外来に勝手に行くことは、できない。どうしても行きたければ、自費になる。もちろん、救急の場合は別だが。
  
GPが、専門医に診せる必要ありと認めた患者だけを、専門医のいる病院に送る。という、この、大病院への紹介制度、先の大戦後まもなく導入されて、現在に至っている。もちろん、自費であれば、GPを通さずに、専門医に直接診てもらえる。
  
これは、無駄な医療費を押さえるための、システムなんだろうけれど、いやあ、もう最初から不信満々よ。だって、GPに眼のことなんか、ちゃんとわかるのかなあ。
  
不安を抱きながら、診療所を訪ねた。医者はライトをあてて眼を診て、ゴミは入っていない、眼薬を処方するから、様子をみるようにといった。まったく予想していた通りというか、心配していた通りだった。
  
ったく、もう。どうせ、そう来ると思ってたよ。そんな診察なら、素人でもできらァ。あのなあ、センセ、ゴミが入ってないのは、わかってるって。

だァ、かァ、らァ、ゴミじゃなくて、ネ、まぶたか角膜かに、なんらかの異常があるんじゃないの? だからゴロゴロするんじゃないの? 
そういう次元で診てほしいのだよ、オイラとしては。


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処方された眼薬をさしても、症状がいっこうに変らないので、しゃあない、自費で眼科へ行こうかと思い始めたとき、たまたま、そのころ取っていた、衛星版の日本の新聞に、ドライアイについての記事が載っていた。
  
これやッ! これ、これッ!
わたしの眼の症状は、まさしくそこに書かれている通りだった。乾燥によって、角膜の表面が傷ついている。そのためにゴロゴロするのだ。

しかもそこには、普通の眼薬を使ってはいけない、と書いてあるじゃないか。んもうー、あの大ヤブGPめ!
  
大ヤブが処方したのは、もちろん普通の眼薬である。ドライアイには、それ専用の眼薬を使うよう、指示されている。おいおい、頼むよセンセイ、あんたネ、なんでも屋のGPなら、ドライアイぐらいは勉強しといてくれよう。
    
さっそく薬局に行って、ドライアイ専用の目薬を買ってきた。英名を「アーテフィシャル・テアーズ」といって、日本語に訳せば「人工涙」。
  
そして新聞記事のアドバイスに従って、ストーブの前に、水を入れた鉢をおいて、極力部屋が乾燥しないように、心がけた。そうして、いつのまにやらドライアイは治った。それ以来、わたしは冬には、部屋のあちこちに水の鉢を置いて、予防している。
  
わたしは、偶然にその記事を見たから、よかったけれど、もし、そのまま放置していれば、厄介なことになっていた。
  
それにしても、GPがドライアイのことさえ知らなかったとはねえ……。うーむむ、イギリスで医者にかかるのは、かなり不安だなあ。

たしかに、専門医紹介制は、医療費抑制のために必要かもしれないが、せめて眼科、耳鼻科、精神科などは、専門医に直接診てもらいたいよーう。

――手遅れになってからじゃ遅いんだぞ、ふんとにもうッ。


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