ベッカム

イギリス生活よもやま話【エッセイ】

プロフィール

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Teeka(フリート妙子)。イギリス人と結婚して、イギリス南東部に住んで、15年が過ぎました(はっや〜い!)。
夫とのなれそめは、よくある話なんですが、彼がわたしの英語の先生だったことです。
静かな海辺の田舎町で、教師を退職した父ちゃん(夫)と、ふたりで暮らしています。

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ベッカム

【頭を丸めたベカム】  
  
あっらー!
四月二十日の英紙タイムズを見て驚いた。そして、ぎゃははと笑ってしまった。だって、ポニーテールだったベカムが、丸坊主になってるんだもん(英語の発音は、ベッカムじゃなくて、ベカムです)。
  
なーんか、これって、日本の不良の高校生が謹慎をくらって、頭を丸めて「すんませーん」って感じ。英紙タイムズも「仏教徒の禊(みそぎ)を思わせる」と書いている。

新聞の第一面に、大きく載ったこのツーショット写真、シリコンで膨らませた胸を露出したポッシュ(ヴィクトリア夫人)と、ベカムが仲むつまじそうにニカッと笑っている。あの浮気騒動は何だったの? と思わせる、見事なパフォーマンスだ。
  
さて、イングランド代表のサッカー選手デイヴィッド・ベカムの、このたびの不倫騒動は、日本でも報道されたと思うが、三週間前にベカムの浮気が発覚して以来、イギリスでは、新聞に彼の名前が載らない日はなかった。

こうも毎日だと、いかにスポーツオンチのわたしでもベカム通になる。もう、ベカムのことなら、お任せください。
  
それにしても、日本のマスコミは、彼のことを「貴公子」なんて呼ぶけど、ほんと、やめてくださいよ、そーゆーの。

本国イギリスじゃ、ベカムってそういうタイプじゃないんです。むしろ反対に、根が庶民だからこそ、親しみもある反面、やることが、どうしょうもなく成金趣味になってしまうのだ。
  
それに、貴公子然としているのは、黙っているときだけ。わたしはテレビで、彼がしゃべるのをはじめて聞いたとき、あらららーっと思わず前につんのめって、そのままとっとっとっ、弁慶の飛び六法を踏んで花道から退場した――、とまあ、それくらいズッコケてしまうしゃべり方なのだ。
  
声が可愛いらしいので、イメージとのギャップが大きいのも、コケる一因である。しかしその後、彼は、故ダイアナ妃を指導したスピーチ・トレーナーについてトレーニングを受けて、今では、話し方が、かなりましになったようである。
  
《ポッシュ&ベック》と呼ばれているこの夫婦、日本ではエステのコマーシャルでおなじみだが、イギリスでの評判は、どちらかというと「バカップル」。

夫婦の教養のなさや、成金の派手な生活ぶりが、マスコミでいつも取り沙汰されるけれど、ま、これは裏を返せば、富を持たぬ者のやっか
みもあるだろう。


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ベカムの不倫騒動、事の発端は、彼のPRアシスタントであるレベッカ・ルースなる女性が、「ベカムと寝た」とぶちまけたことから始まった。「ベカムの不倫情報があるんだけど、いくらで買ってくださるぅ?」てなことをいって、新聞にネタを売ったのである。
  
これを《キス・アンド・テル・ジャーナリズム》といって、イギリスでは、十年くらい前から頻発するようになった。「キス」といえば聞こえは良いけれど、実際には「関係を持った」という意味である。

そして「テル」は「話す」。つまり、有名人との情事をある新聞にぶちまけて、それを独占報道させるかわりに、情報提供者は新聞社から多額の報酬を受けるというもの。
  
こういった記事を載せるのは、「サン」や「デイリー・ミラー」などのタブロイド紙で、タイムズなどの一流新聞ではない。

今回の場合、ルース嬢に53万ユーロ(約7200万円)が支払われたという。もちろん報酬金額はニュースバリューによって違うだろうが、しゃべるだけで一攫千金とあらば、こんなおいしい話はない。
  
だから、ほうらネ、次の週には「じつはわたしもベカムの愛人だったのよ〜ん」と、第二、第三の愛人が名乗り出た。ルース嬢の場合は、さらにスペインでテレビ出演し、出版契約の話などもあるという。

有名人と寝ることは、ヨーロッパでは、どうやら「てっとり早く金持になる方法」でもあるらしい。
  
イギリスではこれまでに、愛人による《キス・アンド・テル》によって失脚した政治家もいるが、これをやるのが女性だけとは限らない。

わたしの記憶に間違いがなければ、たしか故ダイアナ妃の不倫相手なども、これでタブロイド紙を賑わせていたように思う。
  

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この三週間続いた一連の報道を見ていて、ちょっと驚いたことがある。それは、ベカムの浮気を非難する声がほとんどなかったことだ。おいおい、浮気は悪いことじゃないのか?
  
わたしは、詳しい記事はタイムズしか読んでいないので、他紙のことはわからないが、少なくともタイムズの論調でいくと、「ベカムが浮気しても、しゃーないやんけ。そらぁ、嫁はんがワリい」で、攻撃されているのはベカムではなく、奥さんのポッシュなのだ。

えーと、浮気したのはどっちでしたっけ? と思わずツッコミを入れたくなる。
  
今どき不倫など、どこにでも転がっている。それを成敗するような社会的風潮は薄れたとはいえ、こうもマスコミがベカムの肩を持つのは、どうやらポッシュが、イギリス国民にかなり嫌われていることが、原因のようだ。
  
普段の彼女の言動からして、キツそうなオナゴよのう、という印象はある。浮気報道の直後にイギリスに帰ったきたベカムに、いきなりビンタをくらわしたそうだが、ま、それもありそうなことだろう。

しかし、ここまで嫌われていようとは、今回の記事を読むまで、わたしは知らなかった。嫌われる理由はまず、あのキツイ性格から来る傲慢さ。次に、イングランド代表のベカムの妻であるという自覚のなさ。

ベカムが昨年の七月にイギリスのマンチェスター・ユナイテッドから、スペインのレアル・マドリッドに移籍したが、その原因の一端をつくったのが、ポッシュである。
  
彼女がマンチェスターを嫌って、とかくロンドンの華やかな生活に戻りたがるので、ベカムが練習に支障をきたすなどの問題が出てきて、ベカムの育ての親ともいうべきファーガソン監督と対立した。

そして、とうとう、監督との軋轢が、ベカムをスペインに追いやる結果となったのだ。
  
夫をスペインに追いやる原因をつくっておきながら、ベカムを単身赴任させて、自分はロンドンで贅沢三昧。ベカムが淋しさから〈据え膳〉を食ったって、そりゃ当然じゃないか。あんたが悪い。

結婚を持続させたけりゃ、あんたが子供を連れてスペインに行って夫を支えるべきだ。そして今回のことには目をつむって、耐えなさい。

タイムズのライターや寄稿者は男女とも、そう書いている。つまり、ポッシュに「反省しろ」というのが、世論である。


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なぜ、ポッシュはスペインに同行しないのか――。
それは、歌手としてのプロモート活動のためだそうな。「スパイスガールズ」というポップグループのメンバーだった彼女は、ソロになってこれといったヒットが出ていない。ポッシュには、ソロシンガーとして成功したい、という野望がある。
  
〈ベッキンガム宮殿〉と呼ばれる豪邸。どんな贅沢をもかなえてくれる、世界で一番魅力的で、しかも家庭的な夫。そして二人の可愛い息子たち。

女性が求める最高のものをすべて所有しながらも、かつてファンの熱狂のなかでスポットライトを浴びたポッシュには、「ベカムの妻」というステイタスだけでは、満足できないのだ。
  
夫か、それとも自分の人生か――。
彼女が、子供を幼稚園に送り出したあと、じっと家で夫の帰りを待つタイプの女でないことは、見えている。

それでも世論は、彼女に、才能がないんだから歌をあきらめろ、スペインへ行って妻としての役割を努めろ、そうでないと離婚になっても知らんぞと、容赦ない。
  
ベカム夫妻の派手な暮らしぶりはつとに有名だが、この不倫騒動で、さらに拍車がかかった。

4月17日のポッシュ30歳の誕生日に、ベカムが186カラットのピンク・ダイヤモンド(約2億円)の指輪を、浮気のお詫びにプレゼントするというニュースが流れ、タイムズには「ダイヤモンドは永
遠か?」という論旨の社説が載る始末。

また、不倫報道の直後に家族で過ごしたアルプスの山荘(約20億円)を、ポッシュがとても気に入ったので、それを買う話も出ているという。
  
今、この夏にベカムがイギリスに復帰するだろうという噂が、しきりである。レアル・マドリード内でベカム放出の動きがある一方で、イギリスのチェルシーの会長が、ベカム獲得に乗り気である。
  
浮気の代償に、22億円のプレゼント。そのあげくに夫が帰ってくるのなら、悪くない話である。

悪くないどころか、この不倫騒動は、ポッシュにとって、非常に有利に展開したことになる。いやはや、憎まれっ子世にはばかる、ということか。


No.58 2004/4/24
    
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