紅茶 (2)

イギリス生活よもやま話【エッセイ】

プロフィール

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Teeka(フリート妙子)。イギリス人と結婚して、イギリス南東部に住んで、15年が過ぎました(はっや〜い!)。
夫とのなれそめは、よくある話なんですが、彼がわたしの英語の先生だったことです。
静かな海辺の田舎町で、教師を退職した父ちゃん(夫)と、ふたりで暮らしています。

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紅茶 (2)

【英国の紅茶事情 Part 2】  
  
先だっての「英国の紅茶事情」、ご主人のお仕事の関係でイギリスに滞在中の、Sさんから寄せていただいた質問に解答していく、という形で書いたが、またまた、そのSさんから、質問が届いた。
  
「去年かしら? よく英語のわからない私が、何かでイギリスの紅茶協会(?)が、〈紅茶を美味しく飲むには、カップにミルクを先に入れてから紅茶を注ぐ、という結論に達した〉と言っているように、聞こえたんです。
  
なぜそういう結論に達したのか、という部分が、私には聞き取れなかったのですが、えっ?とびっくりしました。では、あの紅茶専用の、広がったカップの立場は、どうなるんでしょう?日本で、紅茶の色を楽しむために作られた、と聞いた覚えがあります。
  
お作法はお習いしていなくても、私的には、どんなカップに注いでも、さて、どんな色に入ったかなあと、まずは色を楽しみ、次にあたたか〜い元気になる香りを楽しみ、そして、ゆっくり初めの一口を飲む。
  
一煎めの葉の個性を味わい、それからミルクを注いで、大好きなミルクティ色を眺め、そして飲む。イギリスのミルクを入れると、紅茶が甘くなって二度美味しい! 最高〜!
  
なあんて、日本人的(?)にイギリスの紅茶に敬意を払って飲んでおりましたのに……。ミルクを先、というのはなぜなのでしょうか? 色を見る楽しみは、どこへ?」
  

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なぜミルクが先なのか。ためしに、一番身近な英国人であるオットットに聞いてみたら、自信満々でこういった。
「そりゃもちろん、紅茶を後から入れると、スプーンでかきまぜなくていいからサ」
どうやら、聞く相手をまちがえたようだ。ま、こんな奴はほっといて、と。
  
えー、それでは、お答えいたします。
2003年6月の、英国の王立化学会の発表によると、熱い紅茶にミルクを注ぐと、タンパク質が変質して風味を害しやすい、という分析結果が出た。

これによって、かれこれ百年以上も続いた、紅茶が先かミルクが先かの議論に、やっと決着がついたそうだ。
  
ところで、前回の紅茶の話で、わたしが格調高くも(?)打ち立てた〈イギリスの紅茶イコール日本の番茶説〉が、Sさんには、いや日本の方々には、どうもよくご理解いただけていない様子である。
  
もう一度いう。あなた、日本で普段の番茶を飲むとき、色だの風味だのを気づかって飲みますか? 飲まないでしょう? それとおなじなのだ。
  
だから、イギリスの一般家庭で普段に飲む紅茶は、まあ、あえて上品な言い方をすれば、「カップに注いだときの色なんぞ、くそくらえ」であり「香りなんぞ、なんぼのもんじゃ」であり、「一煎めの葉の個性なんぞ、いてもうたるどー」なのである。つまり、ひと言でいうなれば、「そんなもんは、どうでもええ」のである。
  
そしてもう一つ、そうならざるを得ない理由がある。それは水。この水がどうしょうもないから、色だの香りだのと、優雅なことをいってられないのだ。(カップに注いだときの、色の美しさを観賞できるのは、日本のような軟水なればこそ)

イギリスの多くの地方が硬水だが、特にわたしの住んでいるケントのあたりは、硬度が高いせいか、この水をそのまま沸かして紅茶を淹れると、表面にギトッと油のような幕が浮く。

だからほとんどの家庭で、浄水器を使っている。それでも、フィルターがくたびれてくると、浄水器を通した水でも、ギトッとなる。

そして、どうも硬水は、色がよく出るようで、ティーバックでもかなり濃い色になる。ポットから注いだ紅茶が、黒っぽい茶色のギトギトでは、「カップに注いだときの色」もへったくれも、ありゃせんのだよ。
  
で、このギトギトが、あーら不思議、ミルクと混ざると、ウソのように消えてしまうのだ。イギリスで紅茶といえば、必ずミルクティで、ブラックでもレモンティでも飲まないのは、この水のせいではないだろうか。
  
イギリスでホームステイを経験したある女性が、こんな話をしてくれた。
「わたしのステイ先も、紅茶は、スーパーのテスコのティーバッグでした。で、ある日、ホストマザーが『今日は奮発して、ブランド物買っちゃったわ』といって出してくれたのが、リプトン。

思いっきり、ずっこけましたね〜。だって、うちの母の飲んでいる〈一番ちゃちい〉のが、リプトンだと思っていましたから」
  
そんなもんです、イギリスの紅茶なんて。だから、日本で、一般的イギリス風紅茶を飲むならば、まずポットにリプトンのティーバッグを入れ、グラッときた沸き立てのお湯を注ぎ、五分ぐらい置いて、濃い目に出す。

そして、マグカップに少量の冷たい牛乳を入れる(まちがっても温めた牛乳ではない)。そう、イギリスでは、案外と多くの人が、ティーカップではなく、マグで紅茶を飲むことも、驚きのひとつである。

おそらく、ガブガブ紅茶を飲むから、上品にティーカップではなく、マグになっちゃうんではなかろうか。

冷たい牛乳を入れたマグ、そこにパワフルな、濃い紅茶を注ぐ。
これぞ正真正銘、ホンモノの英国通の飲み方なのでありますぞ。

No.50 2004/2/21

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