もういくつ寝るとクリスマス

イギリス生活よもやま話【エッセイ】

プロフィール

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Teeka(フリート妙子)。イギリス人と結婚して、イギリス南東部に住んで、15年が過ぎました(はっや〜い!)。
夫とのなれそめは、よくある話なんですが、彼がわたしの英語の先生だったことです。
静かな海辺の田舎町で、教師を退職した父ちゃん(夫)と、ふたりで暮らしています。

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もういくつ寝るとクリスマス

 
12月に入って、さっそくクリスマスカードが届き始めた。届いたカードの「楽しいクリスマスと、幸せな新年をお迎えください」の文字を見ると、なんとなくそわそわと、追い立てられるような気持になる。
  
ああ、クリスマスがやってくる。
うちもそろそろクリスマスツリーを出さないと……。

イルミネーションの豆電球は、欠けてなかったっけ? 玄関に飾るリースはどうしょう? 庭のヒイラギにきれいな赤い実がついているから、あれを切って作ろうか。赤いキャンドルは、まだあったっけ?
  
おっと、それよりも早くクリスマスカードを書かなくては。イギリスのクリスマスカードは日本の年賀状と同じで、一人が何十枚と出す。

クリスマスまでに届くよう、遠くの人には郵送し、身近な人には手渡
す。日頃はとんとご無沙汰なのに、「毎年、クリスマスカードだけは交す」という間柄があるのも、年賀状とそっくりだ。
  
クリスマスは、驚くほど日本の正月に似ている。クリスマスツリーは、日本の門松にあたる。

日本でも、門松のかわりに、家の中に「拝み松」と呼ぶクリスマスツリーのような大きな松を立てる地方が、あるそうだ。そして、ヒイラギで作った玄関のドアに飾るリースは、さしずめ注連(しめ)飾りといったところか。
  
イギリスでは、クリスマスの準備はとっくの昔に始まっていて、9月ごろから、あちこちのパブやレストランで、「クリスマスディナーのご予約承ります」の張り紙が掲げられる。

その予約が、10月には満杯になるという。こういったクリスマスディナーは、12月の半ばに行われる職場やサークルの宴会で、つまりは忘年会である。
  
10月から11月にかけて、郵便物がドサッという音をたてて届く。あちこちの店から、クリスマスプレゼントのカタログが、勝手に送られてくるからだ。テレビでも、盛んにギフト用品の宣伝をする。
  
商店街では、早くもツリーやイルミネーションが輝き、この時期になると、たいていの店が雑貨屋に変身して、プレゼント用の贈答品を売る。日本の中元や歳暮を形式的だとする西欧人の批判を聞くが、どうして、どうして。そう人のことは、いえたもんじゃない。
  
なにを贈ってよいかわからないけど、とにかく義理で贈らなくちゃ、といった石鹸や酒類の詰め合わせのセットの箱が、うず高く、積まれているのである。

そういった山積みの贈答品を見ていると、そこに鎮座まします形式主義が、日本のデパートのお歳暮コーナーに決して劣るものではないことを、あらためて認識するのだ。
  
またその積み方たるや、日本人のわたしは、ひえええーっと寒くなる。なにしろ高く、ワインのボトルを、三、四メートルの高さの棚に、積み上げるのだ。さすがはイギリス人。こんなことは、地震を知らない国民にしか、できっこない。
  
そうやって、高いところから睥睨する贈答品は、《それ買え、今買え、早く買え!》と叫んでいるようで、気弱なわたしなんぞは、とにかく買わなくちゃいけない気分になってくる。
  
伝統的な贈り物に、クリスマスハンパーという、バスケットに入った食料品の詰め合わせがある。肉の燻製などの保存食品の入った籠は、日本の歳暮の塩鮭と、大差ない。ロンドンの有名なデパート、フォトナム&メイソンなどのクリスマスハンパーは素晴らしく、またお値段のほうも素晴らしい。
  
  
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イギリスではクリスマスは、一家、一族が集まって過ごす伝統がある。家を離れた子供が帰省し、親戚がやって来る。一挙に家族が膨れあがるクリスマスのご馳走は、全員に十分ゆきわたる量の肉が必要だ。
  
だから七面鳥。この大きな鳥を丸焼きにすると、一羽で相当のボリュームがある。ふたりしかいないわが家では、大きすぎて、とても食べきれない。だから、クリスマスのご馳走は、チキンか、鴨か、キジのローストになる。
  
肉屋の店先には、《七面鳥のご予約のまだお済みでないあなた! 今! 今すぐお済ませください!》などというビラが貼られ、まるで日本の年末の餅屋のよう。
  
日本では、今は元旦からオープンしている店も多いが、イギリスでは25、26日はすべてが休業するので、その間の、家族と客の食糧を確保しておかねばならない。25日には、公共の交通機関が、敢然とストップしてしまう。
    
買物客で込み合う商店や、往来では、人々が「よいクリスマスをお迎えください」と挨拶するのが、聞こえる。日本の「よいお年を」とおなじ挨拶を耳にするたびに、わたしはクリスマスではなく、お正月がやってくるという錯覚を、どうしてもぬぐいきれないのだ。

  
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もういくつ寝るとお正月ならぬ、「もういくつ寝るとクリスマス」特製カレンダーが小さな子供たちのために売られている。11月末からクリスマスまでのカレンダーで、厚さ1センチほどの薄っぺらな箱が、壁掛けになっており、各日付に窓がついている。

その小さな窓を開けると、中にチョコレートかキャンデーが一粒入っていて、子供たちは毎日その窓をひとつづつ開けては、クリスマスを指折り数えて待つのである。

クリスマスイブの晩は、いうならば大晦日。でも除夜の鐘はないだろうって? ところが、あるのです。日本のように鐘そのものに意義はないが、真夜中に教会で礼拝があるので、その始まりを知らせる鐘が鳴りひびく。

さて、待ちに待ったクリスマス。朝起きて朝食をすませると、全員が集まって、みんなの前で順番にプレゼントを開ける。その楽しさは、まるでお年玉をもらう子供のよう。

そして、お昼が、七面鳥のクリスマスディナーとなる。この日だけは、朝からお酒を飲んでも良い日で、みんながほろ酔い機嫌で過ごすのも、日本のお正月とそっくりだ。

キリストの誕生を、新しい年の始まりとして祝うとすれば、似るのは当然か もしれないが、ま、世界中、人間の考えることに、そう変りはないんじゃないの?

さ、はやくクリスマスカードを書かなくては。 ところであなた、年賀状の準備はできましたか?

No.41 2003/12/06

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