セミヌード

イギリス生活よもやま話【エッセイ】

プロフィール

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Teeka(フリート妙子)。イギリス人と結婚して、イギリス南東部に住んで、15年が過ぎました(はっや〜い!)。
夫とのなれそめは、よくある話なんですが、彼がわたしの英語の先生だったことです。
静かな海辺の田舎町で、教師を退職した父ちゃん(夫)と、ふたりで暮らしています。

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セミヌード

【国民総露出狂 Part 1】
  
あー、やだやだ。やなもん見ちゃった。
爽やかな夏の朝というのに、ホントにもう。左手に海を見ながら、海岸通りからハイストリートに入ったとたん、その男に出くわしたのである。もう少しで、ぶつかるところだったじゃないの。
  
中背中肉で、髪は長いブロンド。そのブロンドは、ポニーテールにしてゴムで束ねてあった。そして、腕には刺青。でもまあ、それは許すとしょう。

郵便局の職員だって、刺青やってます。ベカムだって、ポニーテールです。イギリスで、男のポニーテールや刺青にいちいち目くじらをたてていては、生きてはゆけまへん。
  
そして、男の耳たぶには、輪が三つ。つまり、片方の耳たぶに三つの穴をあけて、三つのリングが通してある。しかし、それもまあ、許すとしょう。バスの運転手だって、イヤリングやってます。イギリスで、男のイヤリングにいちいち目くじらをたてていては、生きてはゆけまへん。
  
さらに、その若い男は、街中を上半身裸で、首に大きなペンダントをぶらさげて歩いていた。しかしそれもまあ、許すとしよう。なにしろ、生きてゆけまへんからね。
  
たいがいのことには慣れてしまったわたしだが、この朝、許せないものを見てしまったのだ。オエーッ、思い出しても吐き気がする。

シュワルツネッガーのような逞しさはなく、ショーン・コネリーのような胸毛もない、白い肌の男とすれちがったとき、のっぺりした裸の胸に乳首がふたつ見えた(あったりまえだ。三つあったら、許しませんからねッ)。
  
ところがその乳首が、あったりまえでない。両の乳首に穴をあけて(おお、痛そう)、そこに銀のリングが通してある。ほら、昔の小さなタンスなんかにあったでしょう。引出しの取っ手に小さな輪がついていて、それを引くと、ツツーと引出しが出てくる――。

ああいう感じで、胸に金属の輪がふたつ、ぶらさがっていたのだ。オエーッ。これで、機嫌良くショッピングを楽しんでいた、わたしの週末の朝は、ぶちこわしである。
  
聞くところによると、日本では、こういうピアスをしている人は、SM愛好者に多いそうである。しかし、ヨーロッパではどうなんだろう。刺青と同じような感覚で、おしゃれのつもりでやっている人のほうが、多いんじゃないかしらん。
  
ま、それはともかく。
ピアスを乳首にしようと、ヘソにしようと、アソコにしようと、兄さん、そりゃアンタの勝手だ。しかし、街中を、セミヌードで歩かないでいただきたい。
  
日本で、乳首ピアスの男を見かけないのは、それをしている人が少数派なうえに、公衆の面前で、裸にならないからだ。日本人が裸になるのは、祭りのときとか、相撲とか、それくらいじゃないかなあ。
  
ところが、イギリスでは、男のセミヌードを、じつによく見かける。テレビでサッカーの試合を見ていると、ゴールを決めた選手が、狂喜してシャツを脱ぐ。あれって何なんでしょう? 日本の野球選手が、ホームランを打ったからって、裸になるか?
  
わたしの住むマーゲイトは、夏は、海水浴場としてにぎわう町である。海岸通りには、みやげ物屋、ゲームセンター、カフェなどが並んでいるが、幹線道路なので、交通量も多い。

この道路を、海水浴客は、水着のままでうろうろする。だから夏は、通りを歩けばセミヌードに当たる、ってなことになる。
  

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建築関係の現場で働く人を、ビルダーと呼ぶが、そのビルダーや道路工事のおっちゃん、お兄ちゃんたちが、これまた、よく裸になってくださる。

もじゃもじゃの胸毛とか、ヘソから下に続く毛とか、背中の腰のあたりの毛とか、見たくもないのよね、そんなもん(といいつつ、しっかり見てんじゃねーか)。
  
先日も、うちの近所で、レンガ塀の工事をやっていた。それに携わっていた二人のレンガ職人、どちらも上半身裸で、首には金のネックレスがキラリンコ。

そこを通りかかったとき、うひょ−、見ぃーちゃった、見ぃーちゃった。わたしはひさしぶりに見ちゃったのだ、かの有名な"builder's cleavage"(ビルダーズ・クリーヴィジ)なるものを。
  
クリーヴィジは裂け目という意味で、女性の胸の谷間とか、お尻の割れ目などを指す言葉である。そのお尻の割れ目が、ビルダーたちがしゃがんで仕事をするときに、ズボンのウエストのところから、見えちゃうのだ。ちょうど、かがんだ女性の胸もとから、谷間がのぞくように。
  
そんなもの、かなりズボンをずらすか、極端に股上の短いズボンでないかぎり、見えやしないぞ。と、お思いでしょう? ところが、ところが。普通のズボンで見えちゃうんだわ、これが。

なぜなら、彼らの腰の位置と構造が、われわれ日本人とは違うからなんである。つまり、垂れ尻と上がり尻の違いである。
  
彼らは、腰そのものが高い位置にあって(つまり胴が短くて足が長い)、ウエストのすぐ下から、ぷっくらとお尻の丸みがついている(これはわが亭主を実験台に検証済み)。

したがって、ウエストのすぐ下のあたりから、割れ目が始まる。ゆえに、しゃがむと、立っている人にそれが見える、というわけ。
  
女性の胸の谷間を目前にすると、男性はムラムラするかもしれないが、女性は、男性のお尻の谷間を見たからといって、べつに興奮なんぞはしない。それでもまあ、すぐに裸になりたがる、国民総露出狂的傾向のおかげで、日本では見られない、珍しいものが見えたりするのである。


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