テニス全英No.1

イギリス生活よもやま話【エッセイ】

プロフィール

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Teeka(フリート妙子)。イギリス人と結婚して、イギリス南東部に住んで、15年が過ぎました(はっや〜い!)。
夫とのなれそめは、よくある話なんですが、彼がわたしの英語の先生だったことです。
静かな海辺の田舎町で、教師を退職した父ちゃん(夫)と、ふたりで暮らしています。

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テニス全英No.1

【ああ、ヘンマンさま 】

わたしは、昔から、人があきれ返るほどのスポーツオンチで、どんなスポーツであれ、自分がプレイすることにも、観戦することにも、興味がなかった。だから、テニスどころか、野球のルールさえも知らなかった。
  
「そんなんで、あんた、よう社会生活やっとんなあ」
と友達に感心されながらも、スポーツオンチはオンチなりに、機嫌良く暮らしていた。

ところがイギリスに来てから、6月になると、ウィンブルドンでやたら盛り上がるものだから、見る気はなくても、どうしてもテレビの試合
の画面が視野に入るし、耳にもテニス用語が入ってくる。
  
その聞きかじりの用語のなかに、「デュース」という言葉があった。これをわたしは、てっきりジュースのことだと勘違いして、「テニスというスポーツは、よくまあジュースを飲むスポーツやなあ」と驚いた。
  
しかし、いくらスポーツオンチのわたしでも、試合中に審判が「はい、ジュースの時間です」といって選手が飲むなんて、それはちょっとおかしいんじゃないかと、疑問を持っていた。
  
ところがある日、ふとテレビを見ると、試合中に両選手が椅子にすわって、いっせいにジュースを飲んでいるではないか。

その現場を目撃して、やっぱりそうか、テニスにはジュースの時間が設けられているのだと、深く納得したのである。恥ずかしながら、つい数年前まで、わたしはずっとそう思い込んでいた。
  
 
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そんな大ボケのわたしを覚醒させてくれたのが、かの全英No.1のティム・ヘンマンさま。数年前のある日、夫がテレビでウィンブルドンを見るというので、仕方なくチャンネルを譲った。そのときにパッと画面に現れたのが、ヘンマンのアップ、下を向いた左横顔――。
  
あっ! 似てる。
わたしはドキンとして、もう、目は画面に釘づけ。そう、昔好きだった人にそっくりなのだ。

その人は、日本人だからヘンマンほど鼻も高くないし、顔も長くない。それでも、日本人にも彫りの深い顔だちはあるし、信じられないほどよく似ている。

この瞬間から、ヘナヘナと骨抜きになったわたしは、ジュースも彼が飲んでいるのと同じものを飲むほどの、ヘンマニアとなったのである。
  
次の日の朝、
「ひええ、マイ・ワイフがタイムズのスポーツ欄を読んでいる!」
と夫を驚かせた。そう、わたしは突然、テニスに目覚めちゃったのである。スイッチが、入っちゃったのである。

以来、へンマンの試合の翌朝には、必ず新聞のスポーツ欄に目を通すのが、習慣となった。だから、ヘヘヘ、今や、ちょっとしたテニス通なんです。もう、テニスのことならお任せください。
  
  
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ヘンマンを好きな理由は、もう一つある。
彼はピンチに立ったとき、黙って耐える男なのだ。なにしろ、過去最高の記録が準決勝止まりで、いつも苦戦を強いられて耐えてばかりなのだが、自制心を失わないところが、じつに英国紳士なんだよなあ。
  
この違いは、全英No.2のロゼツキーと比べると、よくわかる。彼は、形勢不利になってくると、癇癪を起こしたり、審判にイチャモンつけたりして、騒ぎ出す。ところが、ヘンマンはごちゃごちゃ言わない。黙って、受け入れる。
  
しかも、イギリス全国民の期待を一身に背負う、そのプレッシャー。
ここ70年近くも、イギリスは、ウィンブルドン優勝者を出していない。

その期待を担う、英国テニス界の希望の星としての重圧。そして、毎年くりかえす敗退の屈辱とに耐える姿が、ああ、どうしようもなく女心をくすぐるんです。なんとかしてあげたい、勝たせてあげたいって気持。これはもう女心というより、母心かも。
  
そんな苦悩に苛まれながらも、紳士であるヘンマンは、今回の対グロジャン戦で、試合終了のときに握手をして、自分が負けた相手の肩に手を置いて、言葉をかけ、その健闘を讃えていた。

くーっ、ティム、あんた、優しすぎー!
勝者が敗者の健闘を讃えることはあるが、その反対は少ない。
  
もー、良い子すぎるんだよね、この人。彼には、闘争精神が欠落している。だから勝てない。いつも、マスコミにそう書かれている。

たしか、彼の父親(ブッシュ大統領にそっくり!)は、弁護士だったと思うが、自宅のお庭にテニスコートがある、裕福なアパー・ミドルクラスの家庭ですくすく育って、ハングリーじゃないんだよねえ。
  
でも、そういう育ちの良さから来る好青年ぶりで、若者だけでなく、中年層にも絶大な人気がある。

なにしろイギリスでは「お婿にしたい男性No.1」なんだから。もっとも、今は彼が結婚して一児の父親になったから、前ほどは騒がなくなったけれど。
  
まあ、わたしとしては、勝敗よりも、彼のアップの顔がテレビで見られれば、それで満足なんである。でも、そのお顔をたびたび拝見するには、やはり勝っていただかないと困る。だから必死で応援する。
  
外出していても、試合の時間になるとすっ飛んで帰って来るわたしを、オットットは、ヘンマンが地元イギリスの選手だから応援していると思っている。ふふーんだ、夫なんて妻のこと、なーんも知っちゃいないんだもんね。


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