セクシー・ガイ

イギリス生活よもやま話【エッセイ】

プロフィール

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Teeka(フリート妙子)。イギリス人と結婚して、イギリス南東部に住んで、15年が過ぎました(はっや〜い!)。
夫とのなれそめは、よくある話なんですが、彼がわたしの英語の先生だったことです。
静かな海辺の田舎町で、教師を退職した父ちゃん(夫)と、ふたりで暮らしています。

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セクシー・ガイ

【セクシー・ガイ】
  
先日、オットットのパンツについて書いたら(「パンツの穴」)、東京のMちゃんからメールが届いた。彼女は、うちの亭主を知っているので、穴あきワインレッドのパンツ姿を想像して、心ときめいたに違いない(んなアホな)。
  
そう、かれこれ十年以上も前。このマーゲイトの田舎町で、Mちゃんとわたしともうひとり、日本人女性三人で、中年独身男であるアランの家に下宿して、自炊しながら英語学校に通ったのだ。それ以来の仲である。
    
そのMちゃんからのメールが、やんなっちゃう、わたしのメルマガよりおもしろいじゃないか。ってんで、本人の了解を得て、ここにちょっとご紹介しちゃうのである。


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「オットットのパンツ……ワインカラーってか? い、意外だな、それ。つか、良かったよ、黄色地に赤のハートマークパンツじゃなくて。
  
で、今回、中年独身男アランのくだりは、もうたまらんな。知ってるだけに。ついでに、アランのビキニパンツ姿をくっきり思いだして、えー、キモかった……。
  
あのぉ、ここだけの話、あたしゃ、もうアランがどんなにいい人で、ついでにお金持ちだったとしても、NOだな、NO!! 街で声を掛けられたら逃げるね、絶対。

なんで? 
はい、それは、ヴィジュアルが嫌だからです!(キッパリ)
  
そんな中年独身男のパンツ一丁姿(ビキニよ、ビキニ、しかも黒)を目撃した、うら若き乙女(当時あたしゃ24よ)の心情と言ったら……。凍りついてしまったわよ。
  
いや、アラン宛の電話を取り次いだだけなんだけどさ(相手は男だったぞ)。奴は、慌てて二階から降りて来やがって(何回もスマンが、相手男だったぞ)、受話器を持ってたたずんでるワタシに気づいて、前を両手で隠しながら、「ソーリー」とパンツ一丁で。
  
どうよ、それ? 自分以外全員女性の同居人よ? しかも、恥じらいと慎みのオール・ジャパニーズ・ガールズよ? 隠すくらいならパンツで来るなよ!!

つか、ズボン履くくらいの時間はあるだろ? それとも何かい? お前のズボンは、暗証ナンバー入れないと履けない様なズボンか? え? パスワードがいるのか? あー、気持ち悪かった。奴のパンツ姿。
  
――という忌まわしい想い出が蘇ってしまったのだ」


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うひゃうひゃと笑いながらメールを読んで、わたしははじめて知ったのだ、彼女がアランを嫌いな理由を。そうか、あの顔が嫌だったのかァ。

でも、彼はいい人だし、あれをセクハラというのは、ちょっと可愛そう。ああ、なつかしいなあ、あの頃。大家の彼がほとんど家にいないので、わたしたちは彼の家で、大きな顔をして、お気楽に暮らしていた。

それにしても、顔だけで嫌われるなんて、お気の毒。Mちゃんは、アランがニコラス・ケイジに似ているゆえに、ケイジも好きになれないというのだ。
  
「名優だと人は絶賛するけど、あたしゃ、キモくてキモくて。どこがカッコイイのさ? ケイジのラブシーンなんて、じぇったいに見れません!! いやらしっ、いやらしっ!! あの、ハゲ具合と、やらしそうなニタニタ笑いがもー、アランとダブっちゃって。可哀相なニコラス・ケイジ……」
  
うーん、そうかなあ。こりゃ、あのビキニ姿が、相当なトラウマなってるわ。わたしはアランに気があるわけでもないし、もしも今、彼に迫られたら
「あ、い、いや、そろそろ生理もあがりそうだし。さいならー!」
とご辞退申し上げて、逃げていく。
  
そんなわたしから見ても、彼はニコラス・ケイジよりキリッとして、ずっとハンサムだぞ。そりゃまあ、やらしそうといえば、ま、まあ……。

そ、問題はここなのだ。この「やらしそう」という感じ。
そこんところが、Mちゃんのお気に召さないのだ。


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ところが、ところが――、西欧では価値観が一転する。
「やらしそう」、結構やないの。どこがあきまへんのや? あのジョージ・クルーニーかて、やらしそうやから人気があるんやおまへんか。

「やらしそう」ということは、「スケベそう」であり「好きそう」でもあり、また視点を変えれば、「おいしそう」でもあり、「色っぽい」でもある。

そして、体から常にフェロモンを発散していて、「いつでもOKでっせえ」オーラが輝いている。こういう状態を、英語では "sexy" という。そして "You are sexy" は、西欧では、最高の誉め言葉なのだ。
  
異性を惹きつける魅力があるかどうか、セックスアピールがあるかどうか。これが最も重要視される社会だから、マスコミでも"sexy"という言葉がやたら目につく。

女性雑誌の美容記事は、「どうしたら可愛いくなれるか、きれいになれるか」ではなくて、「どうしたらセクシーになれるか」である。だから、胸の谷間を見せる服を着るのも、その常套手段のひとつである。
  
日本の男どもがあれほど好きな「可愛い女の子」。それが、ここでは通用しない。「可愛い」は「幼稚」と同義語だと解釈されるから、イギリスの女の子は、なんとかして早く、大人っぽくセクシーになりたいと、躍起になる。 
    
日本ではもう忘れ去られた存在だが、トム・ジョーンズという歌手がいる。そう、あの種付け専門の牡牛みたいな、おっさん。醜男の彼が、イギリスでいまだに大御所的人気を保っているのは、歌唱力よりもむしろ、そのセックスアピールなのだ。
  
だから、イギリスのオトナ文化に浸潤されたわたしの目で見れば、日本でイケメンの人気俳優で、セックスアピールのある人って、どれだけいるんだろう……。あれは日本だから、モテるんだろうねえ。

ま、かくいうわたしだって、根は生粋の日本人だから、男にしろ女にしろ、セックスアピール垂れ流し状態の西洋人は、ちょっとカンニンしてほしい。だから映画を観ても、東洋人に近い雰囲気のキアヌ・リーブスなんかが出てくると、うれしくなったりする。
  
というわけでMちゃん、アランは「いやらしおじさん」というより「セクシー・ガイ」なんだよ。穴あきセーターのセクシー・ガイなんてちょっと貧乏ったらしいけどサ。ま、そんなに嫌うなよ。
  
これを読んで、「ぎゃあああ、ますますキモ〜い!」と、ひっくりかえって、手足をバタバタさせてる彼女が目に浮かぶワ、ククク。
  
  
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