携帯電話

イギリス生活よもやま話【エッセイ】

プロフィール

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Teeka(フリート妙子)。イギリス人と結婚して、イギリス南東部に住んで、15年が過ぎました(はっや〜い!)。
夫とのなれそめは、よくある話なんですが、彼がわたしの英語の先生だったことです。
静かな海辺の田舎町で、教師を退職した父ちゃん(夫)と、ふたりで暮らしています。

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携帯電話

【だれもがみんなパパラッチ】
  
四、五年前に日本に帰国したとき、まずに驚いたのが、日本の携帯電話のサイズだった。だって、イギリスの携帯の半分しかないんだもの。
「さっすが日本はハイテク先進国だねえ」
と、大いに感心したものである。
  
今でこそ、携帯のサイズは日本に追いついたが、全般としてイギリスの電化製品は日本より一、二年遅れているように思う。近頃になってやっとイギリスでもカメラフォン(カメラ付き携帯)がお目見えした。

といっても、わたしのまわりで、この機種を持っている人は皆無で、イギリスでの実際の普及率は、かなり低い。これから、このタイプが伸びて行くことはまちがいなさそうだが、一つ、由由しき問題が、持ち上がっている。

それは、だれもが簡単にパパラッチになれる、という危険性。つまり、タイミングさえよければ、だれでも「フライデー」並みのスクープ写真が撮れるということ。これが有名人たちを、脅かしているのだ。
  
去年の暮れ、ロンドンの有名ナイトクラブ「エンバシー」に、ロック歌手のプリンスがやって来た。

そのとき、彼はボデイガードたちに、店の客がカメラフォンを持っていないかどうかを、チェックさせた。そして全員の客が所持していないことを確認したうえで、やっとその店で飲むことを、承知したという。
  
このことがあって以来、「エンバシー」ではカメラフォンを厳しく規制している。ナイトクラブにとっては、有名人のプライバシーが守れるかどうかが、経営上の死活問題につながるからだ。
  
この他にも、アンドリュー王子などの著名人が出入りするクラブ「チャイナホワイト」でも、カメラフォンのチェックをしているし、高級フィットネスクラブなどでも、その禁止を検討する動きが出ている。

また、携帯普及率が世界でもトップクラスであるシンガポール(国民の四分の三が携帯保持者)では、超一流ホテルの「ラフルズ」が、ロッカールームでの使用を禁止している。


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しかし、まあ、有名人の場合は、プライバシー侵害だの肖像権だのといいつつも、スクープされたスキャンダルで売れたりするのだから、有名税といえないこともない。
  
ところが、われわれ一般人はそんなご利益もないのに、のほほんとしてもいられない状況が、しのび寄っている。

ロンドンのイーストエンドで、こんな噂が流れているそうな。
ある晩、A氏が若い美人とクラブで飲んでいた。たまたま同じ店に居合わせたのが、A氏の奥さんの友達。

この友達は持っていた携帯カメラでこっそりとA氏と彼女が仲良く飲んでいる写真を撮り、
「おたくのダンナ、こんなことしてるけどいいのォ?」
と、その場で奥さんに送信しちゃったのである。
  
午前様になって、良いご機嫌で帰宅したA氏を待っていたものは――
激怒して般若顔になったワイフであることは、いうまでもない。

ガッチリと証拠写真を握られていては、前もって用意した言い訳も、アリバイも、いっさいが水の泡。今、このA夫妻に離婚話が持ち上がってるとか……。


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もう、十年以上前の話だが、わたしは大阪の会社に勤めていた。
その会社は若い社員が多かったせいか、社内恋愛が盛んだった。

「ちょっと、ちょっと。日曜日に○○さんと××さんが心斎橋を歩いてたのを見てん。うん、あの二人は絶対デキてる」
とか
「ニュース、ニュース! 今朝、ぼくは△△くんと□□さんが難波の駅から電車に乗るのを見てしまった」
などの情報が密かに飛び交っていた。
  
△△くんも□□さんも、自宅は難波とは方角がまったく違う。はっはーん、ゆうべはホテルに泊まったな。お二人さん、ラブホテルから出勤ですかい。てなわけで、こっそりやっているつもりでも、みーんなバレバレ。

あの、日曜日の心斎橋の雑踏のなかで、あるいは混雑をきわめるラッシュアワーの地下鉄で、会社の同僚に目撃される確率がどれだけのものかは知らないが、そんな噂はしょっちゅう、耳に入ってきた。
  
本人たちは、見られていることも露知らず、お互いに何事もないふうを装っていたが、こういうことは、案外と人に見られているもんなんですねえ、いや、ホンマ。
  
当時、お盛んなのはシングルの若い人たちだからよかったが、あれが○○課長と部下の××さん、などという不倫の関係なら……。しかも、それを携帯カメラで盗み撮りされたら、有名人じゃなくとも、こりゃやばいですよ。
  
奥さんに送りつけるとか、あるいは会社の対抗派閥にスキャンダル情報を流すとか、考えればいろいろと悪用できるじゃないか。さらに、タチの悪い奴なら、その写真をネタに強請(ゆす)ってくるかもしれん。

そして、何度も金をせびり取られたあげく、逆上して相手を殺してしまった! な〜んてパターンは、推理小説でおなじみである。そのうち、

「携帯カメラが引き起こした殺人事件!」

などという見出しが、マスコミに載るかもしれない。この便利なハイテク道具の出現で、火曜サスペンス劇場のシナリオが、いくらでもわたしたちの身辺にころがっていると思うと、ちょっと寒くなる。
  
だれもが、ポケットにパパラッチをしのばせている時代になった。しかし、だれもが、そのポケットに人間としてのモラルも合わせ持っているとは限らない。

ほらほら、身に覚えのあるあなた。ひょっとしたら、あなたも撮られているかもしれませんよ。くれぐれも、お気をつけあそばせ。


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