日本車

イギリス生活よもやま話【エッセイ】

プロフィール

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Teeka(フリート妙子)。イギリス人と結婚して、イギリス南東部に住んで、15年が過ぎました(はっや〜い!)。
夫とのなれそめは、よくある話なんですが、彼がわたしの英語の先生だったことです。
静かな海辺の田舎町で、教師を退職した父ちゃん(夫)と、ふたりで暮らしています。

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イギリス生活よもやま話【ブログ】

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日本車

【ヨーロッパ製日本車 】
  
先日、カンタベリーに鍋を買いに行った帰りに車を買った。
といっても、もちろんキャベツやモモヒキを買うのとはわけが違うから、衝動買いではない。

試乗したあと、「今決断すればおたくの車を200ポンドで引き取るが、そうでなければ50ポンドになります」と言われて(そんなのモロ、脅迫じゃん)、あっさりと軍門に降(くだ)ったのである。
  
私たち夫婦にとって車は足以外の何者でもない。だから実用一点張り、小さくて燃費の良い車をころがし続けて、イギリス、フランス、オランダ、ベルギー、ドイツ、イタリアを走りまくった。その走行距離がおよそ25万1200キロ。
  
それでもまだ機嫌良く走ってくれる愛車に別れを告げるのは辛かった。でも、さすがに、こう車検に費用がかさむようになっちゃあねえ……。どうやら、お別れの時が来たようである。
  
さて、どの車を買うかということになって、図書館に行って「Which」という商品テストの専門誌を調べた。

乗用車の用途、サイズ別に六つのカテゴリーに分けてテストされていて、そのうちのどのカテゴリーにも必ず日本車が上位に入っている。これを見ると、いかに日本の車が優秀かがよーくわかる。
  
私たちが欲しいタイプの車では日本車のTYというのがダントツ、ぶっちぎりでトップなのだ。性能、走行性、燃費など、あらゆる項目で文句なし(ただしデザインはいまいち)。

これまでボルボ、ローバーと乗り継いで、はじめての日本車である。いやあ、なんだかうれしいねえ。昔好きだった人にめぐりあえたようで、ついニマニマしてしまう(といっても、こちらで生産された車なんですけどね)。
  

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渡されたキーを見て、わっ。な、なんだ、このバカでかいキーは。金属の部分は普通のキーだが、頭のプラスチックの部分が四センチ四方もある。

そして、そこにボタンが二つ。じつはこれはリモコンで、そのボタンを押すと、数メートル離れた所から車のドアをロックしたり解除したりできるのだ。
  
ほほう、キーをドアの鍵穴に差し込む必要がないのは、なかなか便利じゃないかと感心していると、

「なくすんじゃないぞ。このキーはコピーできないんだからな」
ジロリとにらみながらオットットがいった。

じつは私はキーをなくした前科があるのでデヘヘと笑ってごまかすしかないのだが、え? コピーできないってどういうことよ。
  
いや、もちろんコピーしようと思えば、合鍵屋に行けばよいのだろうが、コピーしたキーでこの車を動かすことはできないのだ。なぜなら、このキーの頭にはID信号のチップが埋め込まれている。

キーをイグニション・スイッチに入れたときに、車に搭載されているコンピューターのIDとキーのIDとが一致した場合にのみ、エンジンが始動するのである。
  
だから、悪い奴がこっそり合鍵を作って車を盗もうとしても、ダメなんよね。これはイモビライザーと呼ばれる盗難防止装置で、1997年からヨーロッパでは新車への装着が義務づけられているのだそうな。
  
「へええ、そうなんだぁ、すごいね。んで、これは何?」
キーリングに4桁の番号を彫った小さな金属板がついている。

「あ、それはキーの暗証番号。もしも君がだね、またキーを無くしたら、車の販売店に行ってこの暗証番号を言ってキーを作ってもらうんだよ。だからキーとは別にして大事に保管しておかないとだめだよ。なくすんじゃないぞ、こら」
  
ふーん。と、やたら感心していると、さらにオットットが自慢げに説明したのは、カーオーディオ。
  
このオーディオセット、一体ではなくて、なんとなんと、真ん中でぶっちぎれて、上下に分散している。

上の方にラジオやCDのコントローラーの一部があり、下の方にラジオのチューニング関係のボタンやCD、カセットプレーヤーがついている。そして、その上下のど真ん中に、いきなりエアコン関係のダイヤルが組み込まれているのである。
  
なにゆえ、こんなややこしいことになっているかというと――
一見すると、下の部分だけで一体のオーディオセットに見えるので、泥棒はそれを盗んで行く。

ところが上のコントローラーの部分も一緒に盗まないと、機能を果たさない。つまり、「盗んでも使えんだろ、ガハハ、ざまあみやがれ」的泥棒よけセキュリティなのだ。
  
また、これだと盗まれた方も、買い足すのは下半分ですむってわけで。
なるほどねえ。しかし、カーラジオなんか盗んでいったいどうするの?と思うのは日本人。

ヨーロッパでは、ラジオを盗んで千円にでも売れたら、それでよし。そういうコソ泥がわんさといるのである。

私たちは実際にローマでこの被害にあった。いやはや、まったく。西洋に性善説は通用しないといわれる所以である。
  

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セキュリティ装置搭載のキー、そして泥棒よけセキュリティ・カーラジオときて、さらに、ここで登場するのが、極めつけのセキュリティ装置、ISR(インターナショナル・セキュリティ・レジスター)システム。
  
この車のガラス一枚一枚に「セキュリティ番号」と「ISR24時間ヘルプライン番号」がついている(番号が貼ってあるんじゃなくて、ガラスに彫り込まれているのです。そこんとこ、よろしく)。
  
このヘルプラインに電話をかけてセキュリティ番号を照合すれば、その車のオーナーの名前から何からいっさいのデータがわかる。

これでは、盗んだ車を売却する際に、非常に危険である。また、乗り捨てられた車の確認も、これで一発だ。
  
さらに、さらに、ダメ押しの「ダブルロッキング機能」。キーのリモコンのロックボタンを5秒以内に二度押すと、ドアがダブルロッキングされる。そうすると、内からも外からも、ぜええーーったいにドアが開かないのだ。
  
ほおお〜。なんとまあ厳重なセキュリティ、セキュリティ、セキュリティ。
ん? ちょっと待って。てことは、もう盗まれることを前提にこの車は作られてるわけ? 
  
そうなんです。イギリスは年間50万台以上の車が盗まれ、その40%
が回収不能という国である。ちなみに日本の統計では、2001年の自動車盗が6万3275件となっている。大雑把な計算でも、イギリスは日本の8倍。
  
人口に対する犯罪率を計算すれば、もっとこの差が実感できるだろう。なにしろ、イギリスの人口は、日本の約半分なんだもの。
  
はあ〜、それにしてもねえ……。あのぉ、うちの車って高級車じゃなくて、ちっぽけな大衆車なんですけどぉ……。


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